娘が年長の時に描いてくれた私(本物より美人、ありがと☆)コーチ&子育て主婦の小さな思い。コメント・トラックバックは承認制です。リンクはご自由に。【コメント欄には"http"を記入できません】


by Caroline-h
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初めての慰問

あけましておめでとうございます!
…と書き始めてそのままになってたので、アップします。

今年の「初めて」は、療養病床施設の慰問、でした。



私の母方の祖母は、現在99歳。
定年まで学校教師を勤めた後、自分で選んだ老人ホームに自分で入居し、最近まで1人暮らしをしていました。
実際には近くに住む叔母が、何くれとなく面倒を見ていたのですが…

しかし、献身的な叔母もそろそろ体力の限界となり、つい先日、療養病床施設に入ることになったのです。
療養施設とは…
医療法の規定に基づく病床(ベッド)の種類(区分)で、主として長期にわたり療養を必要とする患者のための病床です。
 療養病床には、次の2つがあります。

 ① 介護型の療養病床(要介護認定された患者に対するサービスを介護保険で提供する病床で、必要に応じて医療も受けられます)
 ② 医療型の療養病床(慢性期の状態にあって入院医療を必要とする患者に対するサービスを医療保険で提供する病床です)。

 これに対して、主として急性期の入院治療を必要とする患者のためのベッド(病床)を「一般病床」といいます。

(全国保険医団体連合会・医療用語の解説ページより)
中学生の頃、青少年赤十字の担当でした。
毎月のように老人介護施設にボランティアに行っていました。
けれど今回の施設がどういう施設だったのかは、この解説を読んで初めて、おぼろげに理解したところです。
最近は、制度がどんどん変わるからなぁ。

で、「お見舞いに行こうと思うのだけど、大丈夫?」と実家に聞いてみたら…
「大正琴の人たちがよく慰問に来てるのよ。来るんだったら、相部屋では子どもたちの楽器演奏するわけにはいかないから、他の人たちにも聴かせてあげられるように、慰問したらどう?」

げげげ。別に、楽器持ってお見舞いに行こうとは、全然思ってなかったんですけど。
しかもうちの子、プロじゃないんだよ。
今から数日後に突然、数十人の見知らぬ人たちの前で、初めての場所で、堂々と弾けるなんて…できるかしらん。
もう精神的に成長して、あがらない年代は過ぎてしまったし、曲も決まってない。

話をきいてとってもびびったので、一応、子どもたち本人に確認。

「ひいおばあちゃんの入院してるところで、40人ぐらいのお年寄りの前でヴァイオリンとチェロ弾いてほしい、って言われてるけど、どう?やってもいいと思う?大丈夫?」
「いいよ」
「だいじょーぶー」
…う~ん、なんか生返事。ほんとにいいの?
「いいよー」「うん」
だからさ、40人の前で弾くんだよ。ほんとにいいの?
「いいよったらー」
「だいじょうぶ!」

…いいってさ。
どう見ても、漫画読むのに夢中で、まじめに考えてないように見えるけど。
ま、いっか。

だけど、どういうところで、どういうことしたら良いのか、私たちは初めての場所だから、時間より早めに行って、いろいろ確認する時間が必要だからね。お願いしますよ。

…で、いざ実家へ出発。
しようと思ったら。

「知らない人の前で弾くの、いやだ…(涙)」

もー。だから何度も聞いたでしょう?
「子どもさん大歓迎です!100回ぐらい間違えても大丈夫です!お待ちしてます」って婦長さんに言われて、段取りすんじゃってるのよ。
今更、いやだとは言えないでしょうが。
そこのお年寄りたちは、童謡をゆっくり弾くと、一緒に手拍子などして歌えるらしいから。
そういう演奏だったら、余裕で?なんとか大丈夫でしょ。
なんとかするしかないのよ。もう。

いろいろ説明しても、どうせ理屈ではあがるしかない、と見切り。
とにかく「案ずるより生むが…」となることを期待して、
「ママがちゃんといるから、ね」ひたすら笑顔。

初めてのことって…いろいろ大変です。

さて、息子がこの旅で最大に楽しかった?はずの新幹線往復の旅は、残念ながら省略。

結局、ヴァイオリンとチェロのきょうだい2人で、教本にあった童謡数曲をゆっくり、最後にやはり2人でCD伴奏つきで、「ユーモレスク」を弾くことにしました。

司会は、私だって。…ええええええ゛~っ!
もう。
ま、いっか。
CTPでずいぶん、場を仕切る度胸は鍛えていただいたから。
…なんだか、都合よく進んでるなぁもう(笑)

さて、本番前。
ロビーで祖母と、数年ぶりの面会。

彼女の意識がはっきりしていた頃は、「会いに来ないで」と面会を断られ続けてきた。

老いたみっともない姿を見られたくない。
若者の生活の邪魔をしたくない。
私のような老人のことなんかどうでもいいから、あなたたちは、自分たちの生活をしっかりしなさい。
そう、はっきり言った。

何よりも、老いたからと同情されたり、憐れみを買ったりするのが、いやだったのだろうと思う。
プライドの問題だ。
そう思ったので、いつも黙って引き下がってきた。

けれどいまや、そういうことを言う祖母はいない。
私のこと、孫だとわかってもらえたのだろうか。
結局、そういう事なのだ。
…とにかく久しぶりに会えたのは、うれしかった。

いよいよ演奏のとき。
付け焼刃の度胸をつけて、司会らしきことをする。
「これからヴァイオリンとチェロで演奏しますので、よろしくお願いいたします」

娘はこれ以上上がれない、くらいにあがっていた。
なにせ、演奏後にごほうびであげようと思ってたアイスを、あんまりガチガチだったので急遽、本番前に買ってきて食べさせたぐらい。

けれど、本番になると不思議に落ち着いて、堂々と弟をリードして弾いていた。
しかも今までで一番、心がこもった暖かい音色だった。
それはもう、不思議なくらい。

息子はまた、とても分かりやすくて。
本番前は娘に比べて大丈夫そうだったけれど、いざ弾き始めてから何度か、顔色が変わった。
…だからさー、ちゃんとさらっとかないと、本番はやり直せないんだってばー。

ほんの少ししか練習してなかったので、
数曲演奏したら、すぐに終わり。

で、ご希望がありましたら、もう一度演奏いたします、何にしましょうか?とたずねたら、
最前列から、

「海、お願いします」

という、はっきりしたお声が。

「海」って…この子たちは、練習してないから弾けない。
教則本にないから。

ここにピアノがあったら、へたくそでも私が弾いてあげられたかも。
ごめんなさい、今度練習してきます、とまずお詫びした。

「どの曲もすばらしかったから、何でもいいから弾いてほしいです」
といううれしそうな声が、あがった。
この声に、子どもたちはどんなに励まされたことだろう。
…と、思う。願わくは。

結局、手遊びが一緒にできる「むすんでひらいて」と、
さっき一緒に歌声が聞こえてきた「ロングロングアゴー」だったかを
私が選んで、演奏させた。
…自信たっぷりに仕切る様子を見せるのは、いつでも難しい。

もしかしたら、ユーモレスクをもう1回ぐらい、演奏したらよかったかなぁ。

でも、子どもたちも緊張の限界だろう。
そう思って、終了の挨拶をした。
拍手の中を、お辞儀しながら退場。

演奏後、個室に戻った祖母のもとへ。
彼女はさっき、最前列で身動きひとつせずに、聞き入っていた。

ずいぶん興奮して、息があらかった。

「もう2度と会えないと思うけれど、きてくれてありがとう。これからも練習しなさいよ」
「はい」
「はい」

そして、最も彼女らしいと思った一言。

「あんたが、ひらひらした服でなかったのがよかった」
「ぴらぴらした服を着て、バイオリンが下手だったら、そんなのは聞いておれん!」

…思わず、噴き出した。

娘は、クリスマス会で着たお気に入りのシンプルな深緑のセーターに、あまりにも普段着のようなので、実家の母のコサージュをつけていたのだった。
ぴらぴらしてなくて、本当によかった。

最後に、「また来るからね」と言って、帰ってきました。

本当に、また行けたらいいな~と思います。

でも、またあの緊張の本番と、必死の練習は、そのまま繰り返すのはちょっと嫌。
今度はもうちょっと、楽しくやりましょうね。
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by Caroline-h | 2008-01-18 01:05 | 子ども